@cs_001.htm,四角中点
**探究/ケーススタディ(1)...四角中点/対応表
|#00045-0424-01| - 四角形ABCDの4つの辺AB,BC,CD,DAのそれぞれの中点をE,F,G,Hとする。図を動かしたとき,どんなことに気づきますか? *** ABCDの形とEFGHの形の対応について注目する ****対応表の基本的な結果(1) |ABCD|EFGH|スケッチ・備考| |正方形|正方形|| |長方形|ひし形|| |ひし形|長方形|| |台形|平行四辺形|| |平行四辺形|平行四辺形|| |一般の四角形|平行四辺形|| |||| **** 観察結果からの定式化の例(1) - 「どんなときもEFGHは平行四辺形」 - 「ABCDが正方形のときEFGHは正方形」 - 「ABCDが長方形のときEFGHはひし形」 - 「ABCDがひし形のときEFGHは長方形」 -- これらはある意味で,教科書等で掲載されている問題を,生徒の観察から「生徒が見つけた問題」として扱うことができる。 **** 観察結果からの定式化の例(2) - だったら,逆もいえるのかな? -- 「EFGHが正方形になるのは,ABCDが正方形のときだけ?」 -- 「EFGHが長方形になるのは,ABCDがひし形のときだけ?」 -- 「EFGHがひし形になるのは,ABCDが長方形のときだけ?」 -上の結果だけからは,上記のような問いが生まれてもおかしくないが,実は正しくない。 ****対応表の基本的な結果(2) - 次のような結果となる生徒がいることもある。 |ABCD|EFGH|スケッチ・備考| |正方形|正方形|| |長方形|ひし形|| |ひし形|長方形|| |台形|ひし形|| |平行四辺形|平行四辺形|| |一般の四角形|平行四辺形|| -上記も含めて学級全体として集約すると,次のようになるといえる。 |ABCD|EFGH|スケッチ・備考| |正方形|正方形|| |長方形|ひし形|| |ひし形|長方形|| |台形|ひし形,平行四辺形|| |平行四辺形|平行四辺形|| |一般の四角形|平行四辺形|| - このような対応表から何を考え,次に何を問題にすべきかを「考える」ことは,これまでとは違った意味での「思考」を求めているといえるし,そこでの「判断」によって,その後の探究の流れは大きく変わっていくといえる。 ***** 判断(1) - 台形において,ひし形と平行四辺形があるが,それはただの台形ではなく,「等脚台形」として細分化すべきだ。 つまり, |ABCD|EFGH|スケッチ・備考| |正方形|正方形|| |長方形|ひし形|| |ひし形|長方形|| |等脚台形|ひし形|| |台形|平行四辺形|| |平行四辺形|平行四辺形|| |一般の四角形|平行四辺形|| -とりあえず,一見落着に思えるが,「等脚台形」が登場したことで,EFGHがひし形になるのはABCDが「長方形と等脚台形」なのに対して,EFGHが長方形になるのは,「ひし形」のみ。 -ある意味,同格と思える二つで差が生まれることに違和感を感じたとすると,「EFGHが長方形になる」場合注目し,次のような結果をえることにつながることもある。 |ABCD|EFGH|スケッチ・備考| |正方形|正方形|| |長方形|ひし形|| |ひし形|長方形|| |たこ形|長方形|| |等脚台形|ひし形|| |台形|平行四辺形|| |平行四辺形|平行四辺形|| |一般の四角形|平行四辺形|| -しかし,「いろいろな場合をきちんと調べよう」という懐疑心が強くなったら,きっと,次のような対応表に修正されていく。 |ABCD|EFGH|スケッチ・備考| |正方形|正方形|| |長方形|ひし形|| |ひし形|長方形|| |たこ形|正方形, 長方形|| |等脚台形|正方形, ひし形|| |台形|長方形, 平行四辺形|| |平行四辺形|平行四辺形|| |一般の四角形|正方形, 長方形, ひし形, 平行四辺形|| - これは何を意味するのだろうか。 -- 一つは,台形や平行四辺形という概念は,この問題の結果には本質的ではないということだ。 -- 正方形,長方形,ひし形という概念は,本質的な性質との関わりをもつということだ。 -- その本質的な性質を見いだすことが,「証明」とかかわることになるといえる。 -- それはつまり,「対角線の性質」。 ***** 判断(2) - 台形において,ひし形と平行四辺形という二つがあるが,他でも「一つとはかぎらない」と考え,もっといろいろな場合を調べてみる。 - すると,次のような対応表になる。 |ABCD|EFGH|スケッチ・備考| |正方形|正方形|| |長方形|ひし形|| |ひし形|長方形|| |台形|正方形, 長方形, ひし形, 平行四辺形|| |平行四辺形|平行四辺形|| |一般の四角形|正方形, 長方形, ひし形, 平行四辺形|| -さきほどの場合と台形の結果が違うのは,こちらの表では,台形の中に等脚台形も含まれた形になっているため。 -この表の方が,台形はこの問題の本質とは無関係な概念になっていることがよくわかる。 ****観察されうる「モンスター」 - 上記の対応表をつくるとき,「四角形の種類」を念頭において形をつくることが想定されているが,4つの点を自由に動かす環境なので,それらをあまり考えずに,次のような場合をつくることもありうる。 - あるいは,「EFGHはいつも平行四辺形」という命題が意識化されると,「そうならない場合は本当にないのだろうか」という意識で下記を生成することもありうる。 |%%02_001a.png|%%02_001b.png|%%02_001c.png|%%02_001d.png| ***モンスターへの対処 |%%02_001a.png| -この形は,中学校でも,「場合によっては四角形」として扱っている。 --逆にいえば,暗黙のうちに凸四角形のみを四角形として扱っている場合もある。 --この形(たとえば,くさび形というような名称をつけるとすると)を,四角形として扱うのが適切かどうかを検討することが,ここで必要なことになる。 |%%02_001b.png| -これは,いわば四角形としては「退化している」場合といってもいい。 -さらに,1つの点に4つを重ねるようなケースもある。 -「平行四辺形にならない」場合の発見といっても,本質的な反例として受け止めるほどではないとなるだろう。 |%%02_001c.png| -「平行四辺形にならない」場合としては,こちらの方が重みがある。 -退化する特殊な場合だけでなく,ある条件を満たす場合はいつもそうなることが推定される。 -中点連結定理との関わりで,それを説明することも意味がある。 -一方,これは四角形として扱うべきかどうかについては,きっと議論が分かれて,「扱う必要性は感じない」のかもしれない。 |%%02_001d.png| -上記との関わりでいえばABCDは四角形として扱うのが適切とは思えないように感じるが,EFGHは平行四辺形,つまり命題としての結論が成り立ってるという点で,「きちんと扱うべき」ことが示唆される事実といえる。 -次の選択肢がありうる。 -- 「これも四角形」として扱う -- まわりに線分を追加して,「辺の中点と対角線の中点を結んだら」と,命題の記述を変える -- まわりに線分を追加して,3次元と解釈し,四面体の4つの辺の中点を結ぶと,命題の記述を変える。 *** ABCDとEFGHの面積の関係に注目する - つづく *** ABCDは,4つの三角形と一つの四角形に分割されていると考え,4つの三角形の関係に注目する - つづく *** 点Aだけを動かして,「EFGHがどういう形になるか」に注目する - つづく *** 二つの点の動かし方と,「EFGHの形」との関わりに注目する - つづく *** 四つの点の動かし方と,「EFGHの形」との関わりに注目する - つづく